約 1,636,804 件
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/54.html
堀瀬 大我 プロローグ 街の中で怪獣が暴れていた。 高さ5mを優に超えているだろうその怪獣は、電柱を薙ぎ倒し、自動車を踏み潰しながら進んでいく。 ぬいぐるみを抱えて逃げる少女が転んでしまう。迫りくる怪獣。絶体絶命だ。 その時、怪獣の頭に榴弾が炸裂した。現れたのは、軍の戦車だ。 その数四台。戦車隊は怪獣に向けての一斉砲撃を開始。怪獣は爆炎に包まれる。 「夢を見たんです」 「へえ?」 昼休み、希望崎学園部室棟の一室。 大我は部長にしばらく部活に来れないかもしれないことを伝えたのだが、理由を聞かれ、ごまかしてもしつこく聞かれ、最終的に脅しや揺さ振りを掛けられ、渋々ながらこう切り出した。 「白とも透明ともつかないような空間で、これから戦いがあることを知らされるんです。信じてもらえないと思いますが…」 「知ってるよ無色の夢でしょ?勝ったら好きな夢見れて負けたら悪夢っていう」 信じるどころか知っていた。 「部長も見たことがあるんですか?」 夢の戦いについての情報が得られることを期待したのだが、そううまくはいかなかった。 「いや、俺は見てない。親父のとこのスタッフが何人か見たっていうのを聞いただけ」 「そうですか…」 「その戦いって、武器とか持ち込めるの?何か用意する?」 「持ち込めるみたいですが…大丈夫です。『いつもの』があれば事足ります」 余計な武器を持ち込んでは、敵に利用される可能性が高まる。 同意を得た人物に添い寝でもしてもらえば、連れてくることは可能だろうが、彼には他人を巻き込むつもりはなかった。 「そう?…それにしても、好きな夢ねえ…俺には現実の肉体を長時間無防備にしてまで見たい夢はないかなあ…。大我、お前はどんな夢が見たい?」 「俺は…」 予鈴が鳴った。理由をごまかすのに大分時間を使ったらしい。こうもあっさり受け入れられるなら、もっと早く話していればよかったかと、大我は思った。 「まあいいや。明日…じゃねえか?また今度、実際に見た夢をゆっくり語ってもらおう」 そういって、部長は席を立ち、部室のドアに手をかける。そして、去り際にこう言い残した。 「間違っても、周りに気を遣って早起きしました、なんて言うんじゃないぞ?」 彼はその映画が好きだった。 特に、途中の10分程のシーンに、彼は心奪われた。 安っぽい模型に着ぐるみ、素人が作ったようなCGだったが、それでも少年だった彼の心を掴んで離さなかった。 あの映画の世界に入りたいと、彼は願った。 そして彼は、それを叶えるチャンスを得た。 己の夢のために、彼は戦う。
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/57.html
ダンゲロスくん プロローグ 春の相模湾にきらめく江ノ島の夜景、その中で最もまばゆい光はダンゲロス高校のグラウンドの隅から放たれていた。ネオンでもLEDでもないその輝きは、眩しく、そして情熱的に燃え盛るダンゲロス神社であった。 「やっぱりキャンプファイアーは木造建築に限るよね」 「楽しいふくいー」 「写メとっちゃおう☆」 ダンゲロス神社の回りには三人の少女的な生徒がいるだけである。一人はこのキャンプファイアーを企画したダンゲロス高校一年の夙川さくら。楽しいことと美味しいことには人一倍こだわりのある幸せハンター。そして、もう一人もダンゲロス高校一年の鯖江あわら。福井県が好き。それから、女子高生の格好をした中年男性、エルフォート・デュラン・めぐ子であった。 「なんかさっきから変な音がするふくいー」 「きっとマシュマロが焼けた音だよ」 「ちがうよ、もっとこう、内に秘められた邪悪なる意思が久遠の呪縛から今まさに解き放たれようとしている感じふくいー」 「なにそれ怖いかも☆」 あわらの予感は的中した。地鳴りと共に大地が割れ、地中からは大量の切り干し大根が溢れだした。そして、切り干し大根に混じって飛び出したのは十字架に張り付けにされた中東系の男であった。 「あれは県立お惣菜センターのゆるキャラのMHS-2444-WX、通称ダンゲロスくんじゃ」 「知っているんですか、ダンゲロス爺」 偶然その場に居合わせたのは浮浪者のダンゲロス爺であった。ダンゲロス爺はダンゲロス高校とかには関係ないどっかの浮浪者だ。 「封印を解いてくれてありがとうゲロス。これから僕の復讐ショーを見せてあげるゲロス」 とダンゲロスくんはスペイン語で言うと十字架に張りつけにされたまま高速で校舎の方へ飛び去った。 「暴れん坊ジェネラルの再放送が始まるし帰ろうか」 「帰るふくいー」 江ノ島の上空、ダンゲロスくんは何かを探しているかのように旋回を繰り返していたが、ダンゲロス高校の一室から漏れ出す灯りを見つけると急降下を始めた。今更だがダンゲロスくんが空を飛べるのは空気中のマイナスイオンを操って気流を生み出しているからなのだ。 そこは、ダンゲロス高校のならず者が集まる賭博場だった。騒がしかった賭場もダンゲロスくんの乱入っで一気に静まりかえってしまう。 「なんだてめぇコラ、不法侵入かよ」 ダンゲロス高校の不良グループリーダーのイエモンである。 「わが校に侵入とは、これは問題だなぁ」 ダンゲロス高校の生徒会長のアヤタカである。 「夜の海を孤独だと思うのは、君が孤独だという証明さ」 涙とテキーラのヨハンである。 「ぼくはダンゲロス高校のゆるキャラ、ダンゲロスくんゲロス。今日はみんなに死を届けにきたゲロス」 「なにぃゆるキャラだとぉ、そんな俺達とキャラが被ってるヤツはお役所が許しても俺達が許さないんだよぉ」 と言いいながらイエモンは銃を抜いたが、空中浮遊しながら突進してきたダンゲロスくんにはねられて死んだ。「不味いぞ、あいつは生粋のゆるキャラだから倫理観とかもゆるゆるなんだ。もうなにもかもお仕舞いだ、みんな惨たらしく殺されるぞ」 ダンゲロス爺は自身の運命に絶望してショック死した。その時、爆発が起きた。ダンゲロス爺が死んだことで学校の自爆システムが起動したのだ。「もう無理、逃げ切れん。散るならば焔の華と成り消える」 生徒会長は切腹して爆発して、ヨハンも 「メキシコの名も無き酒の香りを忘れたくはない」 と言い残して次の街へ旅立った。 翌朝、奇跡的に焼け残った南側の校舎で授業は再開された。だが、それはダンゲロスくんによる学校支配の始まりでもあった。ダンゲロスくんは死んだ生徒会長に代わって生徒に重税を課し、厳しい校則を制定した。しかし、校則そのものに意味は無く、ただダンゲロス高校の生徒を苦しめることが目的である。 当然だが、これに反発する者達も現れたが、見せしめのためにゆるキャラ特有の惨たらしい処刑をした。こうしてダンゲロスくんは学校の実力者を次々と処刑していった。 しかし、教育委員会はそんな状況を黙って見てはいなかった。十時間にも及ぶ無意味な会議の末にアメリカ軍の要請を決定したのだ。そして、アメリカ軍が到着するまでの三分の間に教育委員会はダンゲロスくんによって皆殺しにされてしまった。このダンゲロスくんの異様な戦闘力の高さは、ダンゲロスくんが体内のマイナスイオンを調整しているからなのは有名な話である。 江ノ島には五十両のシャーマン戦車が駆けつけていた。アメリカ軍による圧倒的物量による制圧作戦という訳だ。五十の砲門は一斉に火を噴き、ダンゲロス高校を跡形もなく吹き飛ばした。 「やったか」 立ち込める煙の中から飛び出したのは一筋の光であった。光は戦車をかすめると爆発して数両を吹き飛ばした。さて、なにがどうなっているのか無意味な解説をすると、ダンゲロスくんはマイナスイオンを集中させてシールドとして使い、集中させたマイナスイオンを一挙にビームとして放出したという訳だ。つまりマイナスイオンがあれば年金問題以外はだいたい解決できるだろう。 さて、生き残ったアメリカ軍は戦車で奉行所に突っ込んだ。 「ヘイブギョオオオ、SOS!SOS!」 すると奉行所から出てきたのは全身を兵器に改造したサイボーグ奉行であった。 「問題ない、ダンゲロスにはダンゲロスをぶつけるまで。すでに奴が動いておるわ」 海を泳ぎ、江ノ島に上陸したのはダンゲロス高校に潜入していた女子高生風のそれはエルフォート・デュラン大佐であった。エルフォート・デュラン大佐は超能力を駆使した痴漢専門の捜査官であり、趣味ではなくおとり捜査として女装をしていたのだ。(趣味ではない)ちなみに彼は神奈川県警の所属だが、その貫禄ある風貌から大佐と呼ばれている。 そんな変態とゆるキャラが遭遇してしまった。 「お前ダンゲロスの臭いがしないゲロス」 「君はなぜダンゲロス高校をそんなに憎むのかね」 「それはねぇ、僕がダンゲロスで命を落とした者達の怨念から生まれ、ダンゲロス高校の者達にずっと封印されてきたからゲロスぅぅぅ。これは僕の世界への復讐ゲロス」 感情が高ぶりビームを出すダンゲロスくん。一方の大佐も抜刀して刀からビームを出した。そして、ビームつばぜり合いによって互いの実力と年収を察した。 「ここで戦えば鎌倉を巻き込んでしまうだろう」 「いいよ、場所を変えるゲロス」 二人は電車で東京に行った。 食事をすませた二人はお台場にいた。二人だけの真夜中の決闘である。 「やっと互角に戦える相手ゲロス」 「おやおや、少し計算が甘くないですかな」 大佐は不適な笑みと共に光を身に纏い、キツネの耳と九尾のしっぽを生やした。大佐の刀には大妖怪である九尾の狐が封印されており、九尾の狐と同化することでパワーアップできるのだ。 ダンゲロスくんが殺意を感じた頃には大佐は懐に入っており、ダンゲロスくんは蹴り飛ばされて不治テレビの社屋にめり込んでいた。 「いてぇぇぇ、お前は一番惨たらしく殺してやる」 ダンゲロスくんは怒りに任せてビームを吐いた。だが大佐はビームを刀で切り進み、さらにもう一蹴り。その威力はすさまじくダンゲロスくんは六本木ヒルズに突っ込み、三本くらい切り倒してしまった。さすがにこれはマイナスイオンでガードしても痛いものだ。 「くそぉなんなんだよお前、柔道黒帯かよぉ」 ビームが効かないと解ればマイナスイオンを身に纏い身体を極限まで強化する作戦に変更した。フルパワー最高速の戦いは六本木の街を壊滅させた。もはや普通のサラリーマンには目視出来ないレベルの戦いだ。だが戦局は終始大佐が優勢でダンゲロスくんは大佐に羽交い絞めにされて上空につれていかれた。 「やめろ、何をしやがる」 「これでお仕舞いだ」 大佐は突然反転して急降下、途中でダンゲロスくんを発射してしまった。 「まさかオマエ」 ダンゲロスくんを待ち受けていたのは東京スカイツリー、東京人の見栄の塊だ。ダンゲロスくんはスカイツリーの先端に突き刺さり、出血多量で意識を失った。 それは無色透明の世界だった。これは夢を見ている。それだけは理解出来た。そこでダンゲロスくんは願った。ダンゲロス高校の生徒にさらなる苦しみを。終わらない戦いを。欲望の果ての破滅を。それから年金問題の解決を。 ダンゲロスくんの怨念は電波塔である東京スカイツリーから世界中へ発信され、いろいろ頑張って世界を何往復もした。やがてこの電波を受け取り、多くの者達が戦い始めるだろう。夢の戦いの始まりだ。だが、当のダンゲロスくんはそのことを知らない。 大佐もさすがにダンゲロスくんは死んだと思って家で暴れん坊ジェネラルの録画を見ることにした。だがダンゲロスくんはまだ死んではいない。まだ突き刺さっていた。 「よくわからない、でも夢の戦いで勝てばアイツに勝つ方法を知ることが出来る気がするゲロス」
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/109.html
『第6試合:遊園地その1・試合後のおまけ』 ■▼■▼■▼■▼■ 妹とのあれこれを終えた俺・矢塚 一夜とその弟・白夜は、炎天下の中ジェットコースターの順番待ち行列に並んでいた。 俺たちの前には無数のババアと海坊主の群れが行儀よく列を作っているのが見える。だが、肝心のジェットコースターの姿はまったく見えない。遠すぎるのだ。俺たちはかれこれ三週間は並んでいるが、いつまで経っても到着する気配はなかった。 どうやらこれは夢の戦いにおける敗者へのペナルティらしい。白夜に協力していた俺も参加者扱いで引きずり込まれたようだ。本戦の時に入れてくれればもっと活躍できたのになあ…… しかし暑い。むしろ熱い。直射日光とコンクリートの照り返しで二倍熱い。俺の全身から汗が滝のように流れるが、夢の中なので脱水症状で倒れるようなことはない。ひたすらに熱いだけだ。悪夢か。悪夢だった。 列が動く。少しだけ前に進むが、目的地はまだまだ遠い。 俺は横の白夜を見る。我が弟は俺と一緒に三週間立ちっぱなしの並びっぱなしだが、その顔はジェットコースターへの希望に満ち溢れている。そうだよなあ。楽しみだよなあ。ガキのころ遊園地に行ったときは身長制限に引っかかって乗れなかったもんなあ。 そもそも、俺の能力を使えばここから脱出することも可能だろう。だが俺はそうしなかった。今回もいろいろあったが、正直戦いに貢献できていたとは言い難い。むしろ足を引っ張っていたのかもしれない。だから、一緒にペナルティを受けてやるのも当然といえば当然だ。 それに、弟がこんなにも目を輝かせてジェットコースターを心待ちにしているんだ。いまさら乗らずに帰るだなんて、兄貴として恰好がつかないじゃあないか? 列が動く。少しだけ前に進むが、目的地はまだまだ遠い。 ■▼■▼■▼■▼■
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/6.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/921.html#id_2d967d6e たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/37.html
竜 プロローグ 竜は夢を見た。 それは、これといった特徴があるわけでなく目を引くような派手さがあるわけでもない、しかし印象に残る、なんとも奇妙な夢であった。 竜は長い間眠っているが、夢を見ることはほとんどない。 目を閉じ、意識のないまま五百年を眠り続けては目覚めることを繰り返してきたし、これからもそう続いていくものと考えていた。 夢を見るなど、卵から這い出し、母竜の下で眠って以来の出来事である。竜は一抹の懐かしさを覚えた。 こうしている間も、竜は目を覚ましてはいない。いまだ夢の中である。夢の中にて思考しているのだ。竜が目覚めるにはまだ時期が早い。 竜はもっと夢を見てみたいと思った。それは単純な好奇心からであり、古くに別れた母への思慕からであり、少しの悪戯心からであった。 夢の奥底にはなにがあるのだろう? 竜は夢の中へ潜行しはじめた。
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/79.html
少女は生まれた時から良い子として育てられ、それを疑問に思った事はなかった。 勉強や運動をして、良い結果を出して褒められた時はとても嬉しかった。 それを物足りないと思った事はただの一度もなかった。 当然、自分はそのまま生きていくものだと思っていた。 10歳のある日、少女ははじめて告白というものをされた。 少女はうろたえ、すぐに返事をすることが出来なかった。 結局その日、その話は有耶無耶になったまま終わった。 数日後、少女は突然やってもいない罪で責められる事となる。 後になってわかったことだが、彼女に告白した少年に恋をしていた少女が根も葉もない噂を流した結果だった。 少女は罪を積極的に否定しなかった。今までそんな経験がなかったからである。 その態度は肯定と見なされ、激しい説教と、初めての体罰を受けた。 彼女にとって、叩かれるということは生まれて初めてに近かった。 きわめて理不尽なその体験に少女は恐怖を感じた。 しかし、それと同時に何か、今まで感じた事のない不思議な感情が芽生えた。 誤解はすぐに解かれ、謝罪されることとなる。 しかし彼女は、自分と変わって叱られ、体罰を受け、涙を流す少女にえも言われぬ感情を覚えていた。 ―――今ならわかる。それは、憧れだったのだと。 その後も彼女は良い成績を出し、良い結果を出し、良い子でありつづけた。 そして11歳のある日、彼女はある儀式の巫女役として選ばれた。 それは、その村に伝わる呪われた杖を鎮めるための役目であった。 その杖は、決して触れてはならぬ、決して祈りを怠ってはならぬ、そう伝えられてきた。 一年に一度の儀式の時にしかそれは外気に触れることすらなく封印されているものであった。 少女はすぐに儀式の内容を覚え、また褒められた。 しかし少女の心の中には、あの時の感情(憧れ)が未だに忘れられず、他事で埋められることもなかった。 儀式の日、目の前にその杖を目前に、彼女は祈る。 しかし、彼女の脳裏にある一つの考えが浮かんでしまったのだ。 それは、魔が差したとしか言いようがない、ひとつの、決して考えてはならない考えだった。 ―――この杖に触れたら、自分はどれだけ叱られ、叩かれてしまうのだろう――― それは、彼女がたった一度だけ犯した悪い事(罪)。 ほどなくして、彼女は村を追われることとなる。 だが、彼女に後悔は一切なかった。 何故なら、彼女は自分の望む物が何であるかがわかったのだから。わかってしまったのだから。 そして彼女は旅立つ事となる。その呪われた杖と共に。 ―――彼女は本質的には良い子のままであった。 彼女は心優しく、行く先々でも良い子であった。 もう二度と悪い事をする必要はない。 自分の望む物は、全てこの杖が与えてくれるのだから。
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/52.html
秘密院 恭四郎 プロローグ 俺には魔人の能力などというものは備わっていない。 だからと言って魔人でないというわけでもない。 自分が魔人であるという認識は持っているし、魔人化に伴って肉体が強くなったことも実感している。 魔人の能力はたいていの場合、自身の妄想に起因する。 俺は魔人としての能力を活かして活躍する家族に憧れすぎたせいか、「魔人になりたい」という思いだけが先走ってしまったらしい。 その結果が、”ただの魔人”というわけだ。 それでも能力がないことを素直に伝えられたなら、それなりに楽しい人生が送れたことだろう。 だが、運が悪いことに俺が魔人に覚醒してすぐに、両親と3人の兄が不可解な事故に巻き込まれて死んでしまった。 誓って言うが、俺は家族の死に何も関わっちゃいない。 事故の知らせを聞いたとき、俺の胸に満ちたのは深い悲しみだけだった。 けれど、家族の事故死によって秘密院家の当主になった俺が、今さら魔人としての能力などないと言ったところで誰がそれを信じると思う? 自分の能力を隠していると思われるのがオチだ。 結局のところ、俺は「あいつは危険な能力を持った男に違いない」という周囲の人間の認識に従うしかなかった。 これまで秘密院家の当主としてなんとかやってこれたのは、奇跡的と言ってもいい。 俺が死んだときにはぜひ褒めてほしいものだね。 さて、なぜ今こんなことをレコーダーに向かって話しているかと言えば、全ては無色の夢のせいだ。 どんな結果になるかは分からないが、二度と目覚めない可能性を否定できない以上、記録を残しておく必要があるだろう。 あの夢から目覚めた直後、秘密院家の情報ネットワークをフルに使って調べたが、どうやら俺の認識したルールとやらは全て真実らしい。 そろそろ対戦相手の情報も入ってくる頃だ。 能力なしで魔人とやりあうのは不利でしかないが、それでも何十回という戦いを勝ち抜いてきた俺には一つの確信がある。 『たいていの魔人は全力でぶん殴れば死ぬ』 物理法則が変わらないのなら、勝機は十分あるだろう。 愛用の武器を持ち込めるというのもありがたい。 もしこの戦いに勝利できれば、俺にも能力らしきものがついに備わることになる。 オリジナリティには欠けるが、魔人の能力はどこかしら似通っているものだ。 贅沢は言うまい。 だが、それでも2つ問題が残っている。 『『俺は夢を見るのが嫌いだ』』
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/113.html
第8試合SSその2 投了SS (前回までのあらすじ!) 口舌院言論との戦闘を終えた、口舌院焚書。 口舌院言論の相手に短歌を読ませるという奇策により、十億度の熱戦が口舌院焚書に襲いかかッタ! 万事休す! もはや、ここまでか! と思われた口舌院焚書! しかし、口舌院焚書にとって、一億ドは二五二二年前に通り過ぎ去った温度でしかなかった。熱・光子を論理的に完全遮断する特性によって、危機挽回、見事、口舌院言論を退けのであった! しかし、事態は急転直下! 無色の夢を見たものは、戦い合う運命にある。 その噂を耳にした、口舌院焚書は、無色の夢の戦いに興味を持つ。 口舌院言論に、自身の思惑をあてられた口舌院焚書。 口舌院焚書は、口舌院言論に、無色の夢に潜り込んだ後のことを頼み、永遠に眠るとも知れない夢の中へと落ちていった。 眠り姫は、無事、現実に帰ることができるのか。 事態は、誰にも予測できない展開へと向かっていった。 ーーーーー (閑話休題) 「mekakakakaka! 残念だったメカな!」 突如、こだまする声。 ガシャガシャガシャ! 金属のぶつかり合う音が、狭い空間中に響き渡る。 《な、なんじゃこりゃ!》 口舌院焚書は、思わず叫んだ。 目の前には、おびただしい数の「宇宙空き瓶」がガッシャンガッシャンとひしめき合っている。 《あれ、な、何で!?》 想像だにしない光景に、口舌院焚書は、さんさんと輝く、自身の光を抑え、周囲を見渡す。 そこは、間違いなく、今回の戦場となる下水処理場である。 今回の戦場となる下水処理場は、都市からの廃水を処理して河川に排水可能な程度に浄化するための施設であり、 無数の水槽と、それを取り巻く様々な処理装置、張り巡らされたパイプラインによって構成される複雑で危険な空間である。 しかも、敵の能力はまったくもって未知数。 何が起こるか分からない。 口舌院焚書も、想定できるかぎりの装備と心の準備をしてきたが、送り込まれた戦場で、宇宙空き瓶の群れに出くわすとは、思いもよらなかった。 「mekakakakakakakakakakakkaakakkakakak!」 《ああ! もう、うるさい!》 口舌院焚書は、足元の空き瓶を蹴飛ばす。 「な! 何をするメカァーッ!」 ガッシャンと音を立てて、宇宙空き瓶は砕け散る。 「横暴!」「暴力反対!」「俺も俺も」「qwertyuuiop!」 口々に不平を言い出す宇宙空き瓶たち。 ただでさえ、ビン同士のぶつかり合う音や、水音でうるさかったにもかかわらず、今は、宇宙空き瓶たちの声で、口舌院焚書の頭はおかしくなりそうだった。 《うるせえええええ!》 ガシャン! 業を煮やした口舌院焚書は、かたっぱしから、空き瓶たちを手にかけていく。 まるで、ドミノ倒しのように、口舌院焚書の周囲の空き瓶がガッシャンガッシャン崩れていく。 《あはははは、気持ちいい!》 ストレス解消! 気が触れそうなレベルの騒音によって、自分を見失う口舌院焚書。 逃げ惑う空き瓶たち。追いかける二次元美少女。 しかし、下水処理場の狭い足場に、無数の宇宙空き瓶たちが逃げるために必要な十分なスペースはなく、あるものは、下水へと落下し、あるものは、目の前の相手を押し倒して進もうとする。そこは、空き瓶密度500%以上の地獄絵図とかしていた。 口舌院焚書は惨憺たる光景を目の当たりにして思う。 憐れ。 たった、それだけのこと。 口舌院焚書は、人間社会の心の闇をそこに重ねた。 口舌院焚書が、自身の置かれた状況を理解し得ないまま、宇宙空き瓶を虐殺していく状況を一人ほくそ笑みながら見ているものがいた。 可愛らしい容姿には不釣り合いなほどの、残酷な笑みを浮かべたその存在は、身長40cmぐらいの小人。金色の髪、銀色の翅。天使? 悪魔? そのどちらでもないまさにフェアリー。 細かい説明など、必要ない。 先ほど、ほくそ笑むといったが、真実は違った。 怒り。キレる妖精さん。怒髪天。そのエネルギーは宙を切り裂き、背後の空間をもゴゴゴゴと歪ませる。 「ここまで、小馬鹿にされたのは初めてですよ」 と、妖精さん。 『「助けてー許してーごめんなさ…ブぎゃっ!」』 『《うおああああああ! 弾けろぉお!》』 宇宙空き瓶の泣き叫ぶ声と口舌院焚書の雄叫び。 このどうにもならない試合の、終了タイミングを見失い、妖精さんは頭を抱えた。 しかし、今更、口舌院焚書を止めることは誰にもできない。 二五四三億度(※摂氏換算)までの熱、光子を論理的に完全遮断する特性を持つ、口舌院焚書を誰が止めることができるだろう。 熱、光子と言えば、あらゆるエネルギーは、このい二つに変換されると言う。 もはや、口舌院焚書、彼女は宇宙最強ではなかろうか。 「とりあえず、どうしましょうか」 妖精さんは、頭を抱えた。 ーーーーーー 《あれ、ここは……》 気づくと、口舌院焚書は光の中にいた。 口舌院焚書は、先ほどまで、無色の夢を見ていたはず。いつの間に、戦闘空間に転送されたのだろう。 《クッ……》 口舌院焚書は、鈍く走る痛みに頭を抱える。 何か、とんでもない悪夢を見た気がするが、思い出したくない。なぜだか、空き瓶の姿が脳裏にちらつきそうになるのを、頭を振って打ち消す。 《ここはどこだ》 口舌院焚書は、光を抑える。 《なっ……!》 口舌院焚書は言葉を失う。 目の前には、粉々に砕け散った死体が、山のようにおびただしい数、埋め尽くしている。 《夢にしても、あまりに悪趣味だな》 周囲を照らしてみると、そこは、確かに戦場となる下水処理場のようだった。 《この遺体は、対戦相手の仕業だろうか》 情報収集も兼ねて、口舌院焚書は、目の前の遺体を手に取……ろうとして思いとどまる。 口舌院焚書は、息を呑んだ。 《ははは、とんだ精神攻撃じゃん》 口舌院焚書自身の遺体だった。自身と同じ容貌の遺体が、惨憺たる状態で横たわっている。 夢にしてはあまりに血生臭く、妙に生々しい。しかし、夢と気づいてしまえば、飛び散っている内蔵さえも真っ赤な紙吹雪と変わらない。そう二次元美少女、口舌院焚書は思う。 口舌院焚書は、怒りに燃える。 こんな悪趣味なことをしかけてくる輩の面を拝んでやろうと意気込んでいた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 《あれ、ここは……》 気づくと、口舌院焚書Aは光の中にいた。 《まだ……夢の中だ……》 そう答えたのは、汎銀河を支配する帝国の皇女。未来歌壇における最強歌人の一人。17歳。 紙色の髪と肌色の肌、燃える色の瞳を持つ絶世の美少女。「銀河の衣通姫」、「歌刑台を焼き尽くす魔女」などの異称でも知られる。 二次元美少女、口舌院焚書Bだった。 口舌院焚書Aが、戦場となる下水処理場に送り込まれた時、目の前に輝く光の中にも、口舌院焚書Bがいた。 《……良いご趣味をお持ちのようね》 口舌院焚書Aは口元を引きつらせた。 《それが、お前の能力ってわけね》 一人で納得している口舌院焚書Aに対して、口舌院焚書Bは、うんざりと言った顔をしている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 《あれ、ここは……》 気づくと、口舌院焚書Aは光の中にいた。・・・
https://w.atwiki.jp/ssdmset2/pages/46.html
牛沢幽也 【 キャラクター名 】:牛沢幽也 【キャラクター名読み】:うしざわ ゆうや 特殊能力『転霊港(テレポート)』 テレポート能力。瞬時に離れた場所に移動出来る。 テレポートする場所はわりとランダムだが、遠くへ移動するほど誤差が出るようだ。反対に近くの何もない場所ならそこそこ思い通りに転移が出来る。 邪念が入ると駄目らしい。狙って建物内に入ろうとして全く別の場所にテレポートすることがままある。動きながらのテレポートも苦手。 でも何も考えずに無意識に能力を使用した場合の成功率はかなり高い。(ボーリングで間違って他人の順で投げた時に限ってストライクが出るアレ) ただ、能力者本人は知能が低い上に妙に運の良いところがあり、自分は何処でもテレポート出来るのだと勘違いしがち。そのことを指摘するとキレて暴れる上にすぐ忘れる。 キャラクター設定 テレポート能力を持つヤンキー。趣味は無免許運転。武器はおみやげ屋で奪った木刀。仲間内での呼び名は"幽くん"で統一されてる。敵対チームからはユウヤ"クン"と呼ばれる。 金髪のロングヘアで黒い服を好む。三白眼。 気に入らない奴を死ぬまで追い詰めて殺す狂犬。だが話のわかる人間には心優しい一面も覗かせる。 知能が低く、人間と会話が成立しない。 ボンバーマンの2人対戦が死ぬほど強いというのが唯一の救い。 関連SS 牛沢幽也 プロローグ
https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/249.html
simulacre, simulachre はラテン語の simulacrum に由来し、12世紀から16世紀には「異教の神の像(image)」の意味であった(*1)。 この場合の像は、絵、彫像など、何らかの形態でかたどったものである (*2)。 マリニー・ローズによれば、16世紀になると「現実の姿を見かけ上真似たもの」の意味でも使われ始めたようである。 現代の仏和辞典では「模造品」「見せかけ」などの語義しか載せていないものもあるが、辞書によっては「像」「偶像」等の意味を残しているものもある。 登場箇所 第3巻26番(未作成) 第8巻28番 第8巻80番(未作成) 第9巻12番 ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。